美味しくて衛生的なお弁当を作るコツ

美味しくて衛生的なお弁当を作るコツ

この情報はコラム執筆、2021年7月時点です

「冷めても美味しい」お弁当のコツ

一般的に私たちは、作りたての温かいものを「おいしい」と感じます。例えば、香りが食欲をそそる炊きたてごはんやカリッとしてジューシーな揚げたての唐揚げや天ぷらなど。
しかし、これらが「冷める」とどうでしょう。できたてだとおいしく感じるのに、冷めたご飯や天ぷらなどは「おいしくない」と感じる人も多いでしょう。

ではなぜそう感じるのでしょうか。その理由と対処法について見ていきましょう。

1.いつもより「塩味は薄め」「甘みは濃いめ」にする

「溶けたアイスやシェイクが甘すぎて驚いた」また、「昨夜の残りの煮物をお弁当に入れると塩辛く感じた」という経験はありませんか?
基本的に私たちの味覚は、甘みは低い温度ほど感じにくく、塩味は低い温度ほど感じます。
そう、温度によって「味の感じ方」が異なるのです。
ですのでお弁当のおかずを作る際の工夫としては、「家で作るよりも塩分を薄めにし、逆に砂糖やみりん、ケチャップなどで普段よりも甘みをつける」ようにすると良いでしょう。

2.冷めても美味しいお米の種類を選ぶ

炊きたてのご飯はつやつやしていて甘みがありおいしかったのに、お弁当に入れたり、おにぎりにしたりすると「べちゃっ」としていたり、ボソボソして食べにくかったりします。
これは、お米の主成分である「でんぷん」の変化によるもので、避けられないことです。
しかし最近では、「でんぷん」の種類の割合の違いにより、「冷めても粘りが残ってもちもちする」など、おいしく感じられるお米の品種が販売されています。
ですので、お弁当用にはそのような種類のものを選ぶようにすると良いでしょう。

おすすめの品種としては
・新潟産の「コシヒカリ」
・山形産の「ミルキークイーン」
・北海道産の「ゆめぴりか」
などが挙げられます。

上記以外にも「冷めても美味しい」と書かれてあるものであればお弁当に適した品種だと言えるでしょう。

3.お米を炊くときに「調味料をちょい足し」する

〈オリーブオイル〉
ご飯を炊く時にお米1合に対し、オリーブオイルを小さじ1程度加えると、油がご飯の粒をコーティングしてくれるので、ご飯のしっとり感は保たれつつ、べちゃっとした食感を防いでくれます。

〈塩麹〉
下味調理で使用すると、お肉やお魚を柔らかくしてくれたり、旨味をアップさせてくれることで知られている「塩麹」ですが、実はご飯に入れることでもその効果を発揮してくれます。
その量はお米1合に対し、小さじ1程度でOK。「ご飯が傷みにくくなる」ので、食中毒が心配な夏場のお弁当にも最適です。

4.お肉は脂肪の少ない部位を使う

ジューシーなハンバーグやとんかつなどをお弁当に詰めると「あれ?味が変わったな」などと感じることはありませんか?
これは、お肉に含まれる「脂」の温度の変化が大きく影響しています。
お肉のジューシーな食感は、お肉の「脂肪分」が溶けることで作り出されます。
しかし、冷めてしまうと、この脂肪分が固まってしまうため、あのジューシーな食感が失われてしまうのです。
このようなことから、「脂肪分」の少ない部位を使った肉料理がお弁当に適していると言えます。
牛肉や豚肉はヒレ肉やもも肉 鶏肉だとササミ、胸肉(皮なし)、もも肉(皮なし)が挙げられます。

また、鶏肉は最も「脂の溶ける温度」が低く、その温度が私たちの体温よりも低いことから、食べた時に、口の中で脂が溶け出します。そうすることで食感が損なわれにくく、美味しいと感じやすいため、最もお弁当に適していると言えるでしょう。

5.水分が出る食材は選ばない、または「ひと工夫」を。

例えば「野菜炒めをお弁当に入れたい」という場合、もやしやキャベツなどの葉物を中心とした野菜だと、水分が出やすく、時間が経つと「べちゃっ」として食感も損なわれてしまうのでおすすめしません。また、冷凍野菜も炒めると「べちゃっ」としてしまうため不向きです。
そのため、水分の少ない野菜、ピーマン・人参・ごぼう・インゲンなどがおすすめです。

もし、水分の多い野菜類を使用したい場合は、一度茹でてから炒めることで、水分が出にくくなるため美味しく食べることができるでしょう。

また、かつお節、すりごま、海苔、油揚げなどの水分を吸ってくれる食材を活用するのもおすすめです。水分を吸ってくれるだけでなく、旨味や風味もプラスされるので一石二鳥ですね。

「時短」を叶えるテクニック

作り置きしておいた「冷凍保存おかず」を活用する

例えば「きんぴら」や「ひじきの煮物」などの水分が出にくいおかずは、お弁当に最適ですが、朝から作るにはかなりの手間ですよね。
冷凍食品を使用するのも一つの手ですが、作った時におかずカップに一つずつ入れてジップロックなどに入れて冷凍しておけば、そのままお弁当のおかずになります。冷凍保存だとある程度日持ちするので、何種類がを日替わりで使用できれば良いですね。また、おかずの種類によっては凍ったままだと詰めにくくなるので、前日に冷蔵庫に入れておくと良いでしょう。

また、「主菜」となるおかずに関しては、こちらも夕飯で作った時に、先にお弁当用として一食分ずつラップで巻き、ジップロックに入れて冷凍させておくと便利です。ラップの上からさらにアルミホイルで包んでおくと、保存性がアップします。

「見栄え」を良くする方法

1.「赤・黄・緑」のおかずを組み合わせる

「気がつくと、茶色一色のおかずになってしまった」という経験はありませんか?
彩の良いお弁当の基本は、「赤・黄・緑」を取り入れることです。
赤の食材だと、人参・ミニトマト・赤パプリカがオススメ。
例えば、人参やパプリカを細い千切りにして甘酢漬けにしておいて、色味に応じてプラスすると色鮮やかに。「酢」の殺菌効果で、食中毒予防にもなるので一石二鳥です。
緑の食材だと、ブロッコリー・ピーマン・枝豆・サラダ菜がオススメ。
ブロッコリーや枝豆は冷凍を使えば解凍してちょっと和えたり炒めたりするだけで使えます。
また、葉野菜の中でも水分の少ないサラダ菜は、しっかり水分を切っておかずの下に敷けば、見た目がとても華やかになります。

2.白ごはんを「色付け」する

どうしてもおかずが茶色っぽくなる時は、ご飯に色付けしましょう。例えば鮭やしそなどのふりかけだけでも良いですが、そこに「枝豆」や「青のり」を合わせたり、「ごま」を加えることで、見た目だけでなく、栄養価もアップします。

「衛生的」なお弁当にする方法

1.詰める前にしっかりと冷ます

熱い状態で容器に入れると、蒸気がこもり水滴が発生することで、食材が傷みやすくなります。
冷めるまではフタをしないことが大切です。
工夫としては、揚げ物用の網などを使って、お弁当の底とテーブルの間に隙間を開けておいたり、ご飯は一旦バットなどに入れて、冷ましてからお弁当箱に詰めるたりすると良いでしょう。

2.殺菌効果の高い食材を取り入れる

殺菌効果の高い食材としては、お酢、お漬物、梅干し、シソ、生姜、ニンニク、にら、パセリ、カレー粉などが挙げられます。また、ご飯は、梅干を1粒、もしくはお酢を小さじ1杯入れて炊くことで殺菌効果が期待できます。

3.とにかく「水分」が出ないようにする

水分が多いと、菌が繁殖しやすい状態になります。上記でも紹介したように、できるだけ水分の出ない食材を使用したり、水分を吸収してくれる食材を合わせるようにしましょう。

4.保冷剤と合わせて、冷凍ゼリーをつける

保冷をする際に、ポイントとなるのが上下や左右、両側から冷やすこと。例えば保冷剤を下に敷きつつ、上部には、保冷剤の代わりに冷凍ゼリーを入れておくと良いでしょう。業務用などでまとめて購入しておくと手間もかからず、お弁当にゼリーがついていると小さいお子様にも大変喜ばれるため、一石二鳥なテクニックですね。

いかがでしたでしょうか。

「美味しくて衛生的なお弁当を作るコツ」について、最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回の内容が、皆様の生活に少しでもお役に立てれば幸いです。

また次回のコラムでお会いしましょう!

〈執筆者〉
管理栄養士 境ありさ
〈プロフィール〉
管理栄養士として小学校での給食管理を経験した後、海外留学などを経てクリニックでの栄養指導を経験し、「分子栄養学カウンセラー」としての資格を取得。
現在は、フリーランスとして栄養相談や記事執筆、ファスティングカウンセラーなどの活動を行っている。

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