腸内環境とアレルギーを予防する食事

腸内環境とアレルギーを予防する食事

この情報はコラム執筆、2021年7月時点です

腸内環境とアレルギーの関係

近年、様々な研究において「腸内環境がアレルギーの発症に深く関わっている」とされています。

私たちの腸には、栄養素を吸収するという主な働きとともに、外から入ってきた細菌やウイルスを排除し、便と一緒に身体の外に排出させる働きがあります。
そのため、免疫細胞の半分以上が腸に集まっていると言われています。

この免疫細胞をうまく機能させるためには、腸内環境をより良い状態にすることが必要です。そして、このことが、アレルギー予防に非常に大切です。

実際「腸内環境の乱れとアレルギー発症の関連性」に関する様々な研究で
・花粉症の患者では、ある種の腸内細菌が減少している
・食物アレルギーを発症する小児では、生後3か月時点での腸内細菌の多様性が低く、ある種の腸内細菌が多い
などと指摘されています。

ここでアレルギーが引き起こされるメカニズムについて見てみましょう。

まずアレルギー反応を引き起こすのは、免疫細胞である「リンパ球」という白血球の一つです。
この「リンパ球」には、免疫を強めるものと、過剰になりすぎないよう免疫を抑えるものがあります。
この2つのバランスが保たれることで、私たちの身体は、重篤なアレルギーや感染症を防いでいます。

アレルギーをもつ人は、この「免疫を強めるリンパ球」の割合が多いことから、様々な物質に過剰に反応しすぎているのです。

このような観点から、この「免疫を抑えるリンパ球」を増やすことが、アレルギーの改善に有効であると言えるでしょう。

では実際に、食事ではどのようなことに気をつけると良いのでしょうか。

アレルギーを予防する食べ方とは?

1.まずは必要最小限の除去!

ここで大切なのが「必要最小限の除去」を行うということです。

実際に、食物アレルギー研究会によると、

小児の鶏卵・牛乳・小麦・大豆アレルギーは3歳までに約50%、5-6歳までに約60-70%が治るため、少しずつアレルゲンを身体に取り入れることで*解除が期待できる
*解除・・・ここでは「アレルギー食材の摂取制限をなくすこと」を意味します。

と報告されています。

例えば、小麦アレルギーのお子様がいる場合、小麦そのものを使用した料理(パン・うどん・パスタなど)は、医療機関で行うアレルギー検査の数値がある程度下がるまでは避けるべきでしょう。
しかし、小麦が微量に含まれる食品、例えばしょうゆやみそなどの調味料、揚げ衣などに関しては、重篤なアレルギー症状がない限り、摂取するよう指導が行われる場合が多いです。

ここで気をつけておきたいのは、加熱や加工、食材によって症状の出やすさが異なるということです。アレルギー食材の摂取制限をなくしていく順番や段階に関しては、必ずかかりつけ医に相談して進めていきましょう。

2.ヒスタミンが多い食品の過剰摂取を避けよう!

アレルギーを引き起こす原因の1つに「ヒスタミン」という物質があります。
「ヒスタミン」は私たちの体内にアレルギーの原因物質が侵入した際に、その物質を排除しようとする免疫の一つなのですが、この「ヒスタミン」が多い食品を過剰に摂ると、免疫反応が過剰となり、アレルギー反応を引き起こすと言われています。

〈ヒスタミンが多く含まれる食品〉
パルメザンチーズ・チョコレート・コーヒー・ココア・マグロやブリなどの赤身の魚(血合いが濃い魚)

3.ビタミンCを取ろう!

ビタミンCはアレルギーの原因となる「ヒスタミンの生成」を抑えてくれる働きがあります。また、アレルギーによる肌症状の改善にも役立ちます。

〈〜野菜編〜〉
ブロッコリー・ケール・パプリカ・キャベツ

〈〜果物編〜〉
いちごやブルーベリーなどのベリー系・キウイ
※1食あたりで比較的豊富なもの

上記のものに多いですが、野菜・果物全般に含まれているため、毎食に旬の野菜や果物を取り入れられると良いでしょう。

4.ムチンを取ろう!

ムチンとは特定の食材に含まれる、ヌルヌル・ネバネバとした成分のことです。
実は、私たちの「涙」や「胃・腸・鼻などの粘膜」にも存在しています。
この成分が、私たちの「腸」の粘膜を保護することによって、腸内の免疫細胞の働きを「正常化」すると言われています。

〈ムチンの多い食品〉
レンコン、オクラ、山芋、里芋、納豆、なめこ

5.酪酸菌の多い食品を取ろう!

私たちの体内で、アレルギーを抑える方に働くのが、腸内細菌の一種である「酪酸菌」だと言われています。食べ物だと「ぬか漬け」や「納豆」などのいわゆる「発酵食品」に多いため、これらを積極的に食事に取り入れると良いでしょう。

6.「発酵食品」+「水溶性の食物繊維」で腸内環境改善にアプローチ!

いくら発酵食品を積極的に食べていても、なかなか腸内環境が改善されない場合があります。それはせっかく腸に良い菌、すなわち「善玉菌」を入れても、それを腸内で「繁殖」させるための「エサ」が足りないという場合です。

ここで重要となるのが、腸内で善玉菌の「エサ」となってその繁殖を助けてくれる「水溶性の食物繊維」です。

〈水溶性の食物繊維を多く含む食品〉
野菜や果物全般・わかめやひじきなどの海藻類・キノコ類・大麦やもち麦などの穀物類

水溶性の食物繊維はできるだけ「毎食」に取り入れられることが理想です。
「野菜の量や種類がなかなか取れない」という方でも、例えば白ご飯に必ずもち麦などの雑穀を入れて炊いたり、乾燥わかめやきのこを常備し、汁物に入れるようにしたりなどの工夫ができると良いでしょう。

いかがでしたでしょうか?
「腸内環境とアレルギーを予防する食事」について、最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回の内容が、皆様の生活に少しでもお役に立てれば幸いです。

また次回のコラムでお会いしましょう!

〈執筆者〉
管理栄養士 境ありさ
〈プロフィール〉
管理栄養士として小学校での給食管理を経験した後、海外留学などを経てクリニックでの栄養指導を経験し、「分子栄養学カウンセラー」としての資格を取得。
現在は、フリーランスとして栄養相談や記事執筆、ファスティングカウンセラーなどの活動を行っている。

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