「コンタミ」表示について

「コンタミ」表示について

この情報はコラム執筆、2021年7月時点です

「コンタミ」とは?

皆さんは、「コンタミ」という言葉を耳にしたことがありますか?
「コンタミネーション」という言葉の略語で、いわゆる「混入」を意味します。
食品加工設備や水産物等の関係で、意図しない物質が最終加工品に混入してしまうことを指します。
その中でも、アレルギーの原因となる物質、主に「アレルギー義務表示7品目」+「アレルギー推奨表示21品目」が混入してしまうことによって食物アレルギーを発症する可能性があります。

※以下、詳細なアレルギー品目の表です。

食品表示基準
義務7品目
食品表示基準 義務7品目
食品表示基準
推奨21品目
あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キュウイフルーツ・牛肉・くるみ・ごま・さけ・さば・大豆・豚肉・バナナ・鶏肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン・アーモンド

上記のようなアレルギーの原因となる食材を使用せずに食品を製造する場合であっても「製造工程上の問題」などによって「コンタミネーション」が発生することがあります。
通常、食品を製造する工場内で、他の製品で使用した食材がその製造ライン上で混入しないよう、十分洗浄したり、食品の保管を区別したりなどの対策が行われています。
しかし、これらの十分な対策を行っても、「コンタミネーション」の可能性が完全に排除できない場合があります。

では、十分な対策を行っても、「コンタミネーション」の可能性が完全に排除できない場合とは、どのようなことを指すのでしょうか?

(1)同じ製造ラインまたは工場内でアレルギーの原因となる食材を使用することによる混入の可能性がある場合

同じ製造ライン(機械)または工場内で作る別の製品に、アレルギーの原因となる食材を使用する場合です。
例えば、あるお菓子工場で同じ機械を使用して、乳製品が入ったクッキーと、アレルギー対応食として「乳製品なし」のクッキーを作る場合などが挙げられます。

食品表示としては、
・「本品製造工場では、〇〇を含む製品を生産しています。」
・「〇〇を使用した設備で製造しています。」
といった表示です。

(2)原材料の採取方法によって混入する可能性がある場合

その製品に使用する原材料(特に水産物)を採取する際に、他の食材が混入し、そのまま製品に混ざる可能性がある場合です。
例えば、いりこを採取する際に、「えび」や「かに」などが混じっており、食品加工の工程において、微細なものに関しては完全に排除しきれない可能性があるという場合です。

食品表示としては、
・「本品で使用しているいりこはかにが混ざる漁法で採取しています。」
といった表示です。

(3)えびやかになどを「捕食」していることによって混入する可能性がある場合

この場合は、その製品に使用する原材料(特に水産物の中でも魚など)において、その原材料となる生物がえびやかにを摂取していることにより混入する可能性のあるものです。

例えば、この表示で多いのが、かまぼこや天ぷら、ちくわやはんぺんなどのいわゆる「魚肉加工品」です。原料となる魚が、「えび」や「かに」を食べている場合などが挙げられます。

食品表示としては、
・「本品(ちくわ)で使用しているタラはえびを食べています。」
といった表示です。

コンタミの可能性を示す「注意喚起表示」には、表示義務がない

上記のようにコンタミネーションへの防止策の徹底を図っても、その可能性を完全に排除できない場合、混入している可能性があることに対し、「注意喚起表示」をすることが消費者庁より認められています。
「認められている」ということは、言い換えれば「表示義務はない」ということでもあるため、その詳細がわかりにくい場合もあると言えます。

学校給食における「コンタミ」への対応について

ここで、学校給食におけるコンタミを含む可能性があるものの「アレルギー対応」についてはどのような配慮の仕方がなされているのか見てみましょう。

平成27年度、文部科学省からアレルギー対応の基本方針として出版された「学校給食における食物アレルギー対応指針」によると、

食物アレルギーの原因食物に関連するものであっても症状誘発の原因となりにくい調味料・だし・添加物については、完全除去を原則とする学校給食においても、基本的に除去する必要はありません。

と記された上で、
(ア)極微量で反応が誘発される可能性がある等の場合
(イ)施設の整備状況や人員等の体制が整っていない場合
上記に該当する場合は、原則として給食の提供はせず、弁当対応が検討されます。

このように、安全性が十分に確保できない場合には、弁当対応が推奨されているからこそ、学校の栄養士はアレルギーを持つ児童生徒にも、できるだけ同じものを食べて欲しいという思いを持っています。
そのため、食品を選ぶ際に、そもそもアレルゲンが混入する可能性が少ないものを選ぶようにしています。
例えば、揚げ物やデザート類で、小麦粉ではなく、米粉を使用した製品があれば、それを選んで、皆が同じものを食べられるようにするなどが挙げられます。

もしも、使用したい食品に不明瞭な点があった場合には、学校の栄養士によって食品業者へその詳細の提示が求められるなどして、コンタミを含め、安全性の確保の徹底されています。
このような観点から見ると、学校給食に使用されている食品というのは、極めて安全性が高いものであると言えるでしょう。

いかがでしたでしょうか?
「コンタミ表示について」の記事を、最後まで読んでいただきありがとうございます。

また次回のコラムでお会いしましょう!

〈執筆者〉
管理栄養士 境ありさ
〈プロフィール〉
管理栄養士として小学校での給食管理を経験した後、海外留学などを経てクリニックでの栄養指導を経験し、「分子栄養学カウンセラー」としての資格を取得。
現在は、フリーランスとして栄養相談や記事執筆、ファスティングカウンセラーなどの活動を行っている。

アレンジレシピ公開中! Instagramのフォローお願いします。

Instagramに #くるらん で投稿をシェアいただき、ありがとうございます!

PAGETOP