日本の給食は世界一

日本の給食は世界一

この情報はコラム執筆、2021年10月時点です

今では当たり前になった「学校給食」。「バランス食の見本」とも言われ、様々な場面でお手本とされています。
また、世界中からも大きな注目を浴びているということを皆さんはご存知でしたか?

今回のコラムでは、学校給食の歴史を振り返りつつ、海外の現状とも比較をしながら、なぜ日本の学校給食が「バランス食の見本」と称され、それほどまでに世界中からの注目を集めているのか。その理由について探っていきましょう!

学校給食の歴史と外国との違いについて

日本の学校給食の歴史と現在に至った経緯

日本の学校給食は1889年に小学校で貧しい家庭の児童への救済事業として行われたのが始まりです。

その後、戦時中には一時中断されていましたが、戦後国民全体が食糧不足という状況の中、児童の栄養失調を救おうとユニセフによる援助を受け、給食が再スタートされました。

そして、1945年に「学校給食法」という正式な法律が制定され、全国に普及されていったのです。

その後、普及率が徐々に高まっていき、2005年には「食育基本法」という新たな法律が制定されます。この法律では、学校全体で地域と連携して食育に取り組むことが記され、今日では、ただ単に栄養を摂るだけではなく、食事のマナーや食材・栄養への知識、食文化などを学ぶ教育の一環としても位置付けられています。

外国の学校給食との大きな違いは?

基本的に日本の給食と大きく異なる点は、「食育」という視点がないことです。いわゆる学校給食の「位置付け」といったところです。

例えばアメリカの給食を見てみると、そのほとんどがジャンクフード。この理由は、給食が国のお金でまかなわれており、自社の食品を売り出したい企業側が学校などに宣伝の意味を込めて安く提供しているからです。給食現場でも強い「資本主義社会」の表れを感じます。

他国を見ても、準備から配膳、片付けまでを行うようなスタイルのものはなく、いわゆる日本の「社員食堂」のように自分で好きなものをとって、自由な席で食べるような形式がほとんどです。

このような現状を踏まえ、日本の給食が注目されている理由について詳しく見ていきましょう。

日本の給食が注目されている理由その

「バランス食の見本と言われるほど栄養バランスの整った食事であること」

【1】栄養士や管理栄養士によってメニューが考えられ、栄養価の計算まで細かく行われている

各学校または給食センターには栄養教諭や学校栄養職員といった給食を管理する専門家が配置されています。

ちなみに「栄養教諭」という言葉を聞き慣れない人もいるかと思います。「栄養教諭」は「食育基本法」と同時に2005年から始まった比較的新しい制度であり、子どもたちへの栄養の指導及び管理をつかさどる役職とされ、更なる食育の充実が期待されています。

この栄養教諭を中心とした専門家によって子どもたちが1日に必要なエネルギーや栄養素の1/3を満たすように計算され、献立作成が行われています。また、栄養量をただ満たすのではなく、できるだけ質の良いものや地元で取れたものを取り入れるなど、子どもたちの健康に配慮した選別が行われているのです。

【2】5大栄養素が必ず組み込まれている

給食は5大栄養素がバランス良く摂れるように工夫されています。
5大栄養素とは、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルですね。

この5つをバランスよく摂取するために必要なのは、「一汁三菜」スタイルの食事です。

料理のグループに分けると、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物(デザート)の5つのグループに分けられます。
この5つをできるだけ組み合わせて献立作成を行うことによって栄養バランスの整った給食が提供されています。

上記の様なことが、給食が「バランス食の見本」と称されている所以でもあるのです。

注目されている理由その

「給食を通じて行われる食育」

教育の一環として行われている「食育」ですが、具体的には3つの方法があります。

給食の時間に行われる食育活動

食材に含まれる栄養素や地場産物について資料媒体を通した指導や、委員会活動などと組み合わせて各学校にて独自の取り組みが実施されています。
例えば、その日に使用されている食材について栄養教諭が直接給食の時間にクラスへ出向いて説明を行ったり、委員会担当の児童生徒が食材などにまつわる知識を食べる前に紹介したり、給食時間に放送したりなど。ここでも子どもたち主体で行うことが大切にされています。

各教科と給食の食材を関連させた授業の展開による食育活動

教科の学習内容と関連する食材や学校給食の献立を、様々な教科の教材として活用することで、健康に良い食事や食品の生産・流通・消費などへの理解をより一層深めることにつなげています。

例えば、小学校高学年における日本の食料自給率について学ぶ社会科の授業において、毎日食べている給食の例を使用し、地場産物を活用することの重要性について伝え、給食にはできるだけ地場産物が組み込まれていることを学習する授業など。各学年に応じて様々な取り入れ方がなされています。

個別に行われる相談・指導

個別的な相談指導は、給食の時間や各クラスで行う授業などでは解決できない課題に対して、その改善を個別に行うものとして行われています。

例を挙げると、年々増加している「食物アレルギー」に関する問題や肥満や痩せ傾向にある子どもたちへの保護者も交えた個別指導などがあります。

注目されている理由その

「準備や片付け、あいさつなどの礼儀作法を学ぶことができる」

〈1.準備〉

まず、クラス全体で行われるのが、「食事環境の整備」。みんなで楽しく気持ちの良い食事ができるように席を整え、手洗いを行うなどの準備をします。
また、配膳を行う児童生徒はエプロンやマスク、帽子などの身支度、健康チェックを行い、配膳ができるかどうかを確認します。もしも体調が悪いなどがあれば、別の児童生徒が代わりに行います。さらに、担任の先生等がチェックし、盛り付けが均等に行われているか・正しい食器の並べ方 ができているかなどを確認します。

〈2.会食〉

会食前には、必ず「いただきます」のあいさつを行うのですが、それと同時にその日の献立を確認し、献立名を知らせます。
また、会食中は食器や箸の持ち方、食事中の姿勢、席を立たない、口の中にものを入れたまま喋らないなど楽しく食事を行うために必要なマナーを学ぶことができます。

〈3.後片付け〉

後片付けはみんなで協力して各学校の決まりごとに沿って行います。同じ食器ごとに均等に食器入れに並べたり、箸を同じ方向に入れたり、ごはん粒をお茶碗に残さないなどの指導が行われます。

注目されている理由その

「質に対する価格の安さ」

学校給食のすごいところはなんと言っても質に対する価格の安さです。これは学校給食に必要な施設や人件費などは各学校の設置者(公立学校ですといわゆる自治体)が負担しているためです。そのため、保護者が負担するのは主に食材にかかる費用のみで済むため、低価格であるにもかかわらず、できるだけ地元で取れた旬の食材やアレルギーの原因物質や添加物の少ない食材を使用した質の良い食事の提供が可能となるのです。

さらに近年では、市町村全体で子育てを支援するためと取り組みとして、「給食費の無償化」を進めている自治体も増えています。

いかがでしたでしょうか。

このように様々な視点から見ても、日本の学校給食制度というのは非常に素晴らしいものなのですね!

今回の内容が、皆様の生活に少しでもお役に立てれば幸いです。

また次回のコラムでお会いしましょう!

【参考資料】
・食に関する指導の手引き(文部科学省)
・文部科学省HP「食育って何?」https://www.mext.go.jp/syokuiku/what/kyusyoku.html

〈執筆者〉
管理栄養士 境ありさ
〈プロフィール〉
管理栄養士として小学校での給食管理を経験した後、海外留学などを経てクリニックでの栄養指導を経験し、「分子栄養学カウンセラー」としての資格を取得。
現在は、フリーランスとして栄養相談や記事執筆、ファスティングカウンセラーなどの活動を行っている。

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